・【千歳座(ちとせざ)】

文久2(1862)年に建てられた芝居小屋で、金丸座(旧金毘羅大芝居。香川県仲多度郡琴平町の 金刀比羅宮・門前町にある現存する中では日本最古の芝居小屋)より20年程後に建てられましたが、全国で特に重要な舞台30の1つに挙げられます。
江戸後期、幕府からは倹約(節約)の通達が常に出ている中で、木鳥神社の道具納屋として建てられました。島の役員達、船乗り、大工らは島の外、上方にも行くことが多く、演芸に接する機会も多々あり、自分達の島でも常設の小屋を建て家族と一緒に楽しんだと思われます。
間口17.4m、奥行8.3mで、中央に直径7.9mの回り舞台があり、天井にはぶどう棚(舞台の真上に ある格子状の設備)、上手下手(かみてしもて:舞台に立っている人から見て左側を上手、右側を下手と呼ぶ)には、大巨柱(脇柱:正面の向かって右手前にある柱)、ちょぼ床(舞台の両袖の上にあり太夫と呼ばれるナレーターが歌を歌ったりセリフを語ったりする場所)、下座(げざ:舞台の下手にある黒御簾(くろみす)の中で演奏される歌舞伎の効果音を鳴らす場所)が設けられています。
秋の祭りには地芝居(じしばい)といって地元の若者が毎晩練習を重ねた上演し、春には麦の収穫が終わると興業師による「麦こなし芝居」を行いました。前の境内が観客席となり、幕で回りを囲み、観客はゴザを引いて、弁当を食べながら楽しみました。
他の島々からも船に乗って多くの人が観にきていました。なお平成元(1989)年に全面修復が実施され「杮落し(こけらおとし:劇場のお披露目公演のこと)」には中村富十郎、沢村藤十郎らが来島し歌舞伎を上演しました。市の文化財になっています。 なお他に芝居小屋は笠島(尾上座)、生ノ浜などにもありました。
・【制札場】
江戸時代に幕府や塩飽を統治していた勤番所からのお知らせや案内などを提示し島民に周知した場所です。市の指定文化財になっています。塩飽諸島の各島、本島には各集落にあり、設置されました。この大きさのものは泊地区と笠島地区のみになります。また、現在塩飽では本島以外に手島、櫃石島にのこっています。
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